情報処理学会第81回全国大会中高生ポスターセッション発表

ミュージシャンになる夢が、ICTでさらに大きく広がった!

神戸大学附属中等教育学校 西出陽菜さん(6年生)

 

ラテン音楽における音楽の機械化 ~ミュージシャンはいらない?~

私の研究では、人間の演奏とコンピュータによる音楽を比較して、将来の音楽について考えました。

 

比較にあたって、人間がレコーディングした曲とコンピュータで打ち込んだ曲という2種類の曲を制作し、聴き比べていただきました。すると、ラテン音楽においては、人間の演奏による曲を選ばれた方が多かったです。そして特徴的だったのは、コンピュータの演奏による曲を選ばれた方に「落ち着いているからコンピュータの方が良い」という意見が多かったことです。

 

そこで、落ち着いた演奏が好まれるジャンルのバラードについても2曲制作し、比較したところ、ラテン音楽と同様、人間の演奏によるものを選ばれた方が多かったのですが、コンピュータによる演奏には、一定という面で落ち着くことができるメリットを発見しました。

 

ミュージシャンへのインタビュー、実験や楽曲の波形から、人間の演奏には人間にしか出せない「グルーヴ感」という音楽のノリが存在し、その「グルーヴ感」が心地よい音楽を作っていることがわかりました。

 

コンピュータ音楽は、今の音楽に新たな刺激を与えるかもしれないので、今回の研究で明らかになったそれぞれのメリットを活用して調和していくことで、さらによりよい音楽をつくることができるとの結論にいたりました。

 

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■研究を始めた理由や経緯は?

 

近年、ICT技術の普及に伴っていろいろなものがディジタル化している中で、音楽もICTを活用して曲が制作されなど、音楽と人の間にコンピュータが介在することが少なくない状況になってきています。コンピュータにゆる音楽は、作曲や教育の面では便利という利点がありますが、音楽本来の「音を楽しむ」という部分が欠けてしまうと思いました。

 

私は将来ミュージシャンになりたいと思っていましたが、このままでは将来にはミュージシャンがいらなくなってしまうと感じたので、将来の音楽について考えるために研究を始めました。

 

かかった時間はどのくらい?

 

高校1年生から高校2年生の2年間をかけて研究しました。しかしICT技術はもっと発展すると思うので、これからも研究を続けていきたいと思います。

 

今回の研究で苦労したことは?

 

実験にあたって、コンピュータで打ち込んだ曲と、人間の演奏をレコーディングした2パターンの曲を作るのに時間がかかりました。作曲自体初めてだったので、音楽理論を学んだり、コンピュータでの打ち込みについて学んだりすることが大変でした。しかし、制作したことで音楽、そしてパソコンへの視野が広がり、良い機会になりました。

 

「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

 

まずこの研究は、完全オリジナルという点で自分らしい研究であり、コンピュータだけでなく音楽の面においても研究しているところを工夫しました。そして、ラテン音楽の結果から、さらに少数派の部分に注目して実験を深めることを工夫しました。

 

今回のポスター発表の感想をどうぞ!

 

今までは、音楽が好きなので単にスタジオミュージシャンになりたいと思っていましたが、この経験を通して、「ICTと演奏を調和させたスタジオミュージシャンになりたい」と更に進化した夢を持てました。そして、発表を沢山の方々に聴いていただいてアドバイスをいただき、研究について話し合うことで視野も広がり、情報が更に大好きになる素敵な経験になりました。発表をする中で、先生や実験でアドバイスをしてくださった沢山の方々に感謝しています。

 


※この研究は中高生ポスターセッションの奨励賞を受賞しました。