情報処理学会第81回全国大会中高生ポスターセッション発表

ソフトウェアの活用で、自然科学部の研究内容がさらに大きくレベルアップ!

熊本県立宇土中学校・宇土高校

 後列左から 佐藤くん(高校2年)、米田くん(高校2年)

 前列右から 吉野くん(中学3年)、窪田くん(中学3年)

 

GeoGebraによる光学実験の再現とImageJによる精度向上

私達は、水を満たした半球容器の円周部分に出現する光の反射がつくりだす不思議なゾーン(Zゾーンとよぶことにした)を発見し、調べたところ、このZゾーンの幅から屈折率が求まることを発見しました。このZゾーンの幅zは、曲率半径Rと媒質の屈折率nに関係し、n = R /( R-z ) で表されることを突き止めています。

 

現在、光の屈折率を簡易的、かつ高精度で測定する研究をさらに進めており、今回は測定の簡易化や精度向上を目的に、高機能画像処理ソフト「ImageJ」と、動的シミュレーションソフト「GeoGebra」を採用して検証を行いました。また、誤差算出や近似直線の作成等には「Excel」を用いました。

 

その結果、ImageJによって、デジタルカーボンノギスでの測定と比べ精度が12倍に向上することがわかりました。また、GeoGebraを用いたことにより、リアルな測定環境を再現でき、実験値と一致することを確認できました。以上のことから、実験の困難な計測についても、有効なソフトの活用によって十分に再現性が得られ、実験効率も上がることがわかりました。さらには、信頼性の確保だけでなく、新たな気づきや複雑な現象の考察が可能となりました。

 

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■研究を始めた理由や経緯は?

 

屈折率の研究は2017年に開始し、昨年、屈折率の精度向上を目的にICTを活用することを考えました。

 

■かかった時間はどのくらい?

 

研究自体は2年かかっているが、今回の発表にはそれほど時間はかかっていません。

 

■今回の研究で苦労したことは?

 

日頃から精度向上を追求しているので、苦労というより、当たり前のことだと認識しています。

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

 

Geogebraは、幾何・代数・解析を一つに結びつけた動的数学ソフトウェアで、比較的操作が容易で、オブジェクトを移動・変形させると数式も自動的に変更されます。逆に数式を変更するとそれに応じてオブジェクトも変形するというスグレモノです。

 

また、ImageJはオープンソースの画像処理ソフトウェアで、Javaの仮想マシン上で動作します。各種画像処理に用いられる数値計算のパラメータが分かりやすく、科学研究のスタンダードの解析ツールとなっています。

 

■今回のポスター発表の感想をどうぞ!

 

奨励賞をいただき、とてもうれしく思います。ポスターセッションでは多くの質問等をいただくことができ、とても楽しく有意義な時間となりました。また、研究を通して情報処理技術等の有用性を再確認できました。今後も工夫を重ねていきたいと思います。

 


宇土高校の「Zゾーン」の詳しい研究はこちら

 [2018信州総文祭自然科学部門発表から]